| 衣類や家庭で使われる布類に施される刺繍は長い間裕福な家の女性の楽しみであり、プロの刺繍師にとっては重要な生活の糧であった。単色または色とりどりの糸を使って描き出された様々な装飾の模様は、地中海や北欧そして東洋の伝統の香りがほのかに感じられる。 |
| 刺繍は主に北部の都市で発達し、それぞれ異なる起源の伝統を受け継ぎながら色や模様、糸の刺し方などにその地方独特のスタイルをもっている。 |
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| 刺繍で有名な地 |
| ▼フェズ |
| フェズにはアルージュ(※)と呼ばれる金糸や銀糸を絹の糸と混ぜて使う独特の刺繍方があったが、19世紀を最後に現在では使われていない。 |
| ※アルージュ(アラビア語でキリスト教徒の意)という名の由来はレバント地方(ギリシャからエジプトに亘る東部地中海沿岸地方の名称)原産の絹地に刺繍された技法を通してフェズに伝わったためだと言われている。 |
| フェズでは繊細な下絵に沿って青や赤の色を刺していく。幾何学的な図形と樹木や鳥など自然のテーマにした模様が結びついているものもある。 |
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| 地方色豊かな刺繍 |
| ▼その他の地域の刺繍の特徴 |
| ●ラバト・・・アンダルスから伝わった多彩な装飾文を特色とする。 |
| ●アズモール地方(エッサウィラ近郊)・・・白か生成の細長い布に鮮やかな色糸を刺すもので、壁掛けやカーテンとして使われることが多い。 |
| ●メクネス・・・暖色の糸をモスリンに刺すもの。 |
| ●シェフシャーウェン・・・幾何学模様と花模様を混ぜた多彩な色のデザインが中世彩色写本やモザイクのよう。 |
| ●サレ・・・単色や2〜3色にものが多く、幾何学文や花文さらにきわめて構成的なデザインで有名。 |